メリット

旭川の問題を解決するために

旭川にとって中央に中層の建物を集中させ、そこを住居や仕事場にすることには多くのメリットがあります。

 まず、一番のメリットは市政、個人ともに出費(支出)の削減です。
 個人の場合は、中心部に住居と職場が集約されるので交通費がかからない、或いは抑えられる。ということです。また北海道民が他の地域よりも支出が多くなる要素の灯油代(暖房費)を大きく削減できます。熱は下から上に伝わる性質があるので、建物を縦に伸ばすことによって低層で使用したエネルギーを逃すことなく上層で使用することができます。戸建てだと多くの熱エネルギーが無駄に放出されています。
 ヨーロッパの集合住宅では大型のセントラルヒーティングにして、暖められた蒸気や温水を建物内で循環させたりしています。北海道の学校の様なシステムです。

 また、旭川の大きな悩みとしては雪の問題があります。除雪の作業自体がもちろん大変なのですが、もっとも大変なので排雪する場所の確保です。戸建ての場合は限られた排雪場所を巡って近所で争いごとになることも多々あり、喧嘩になって殺人に及ぶこともありました。他にも除雪機に挟まれて死亡したケースや、屋根の雪が落雪して死亡したケース、屋根の雪をおろす際に人が落ちて、雪に埋もれて死亡するケースもあります。ですので、豪雪地帯であればあるほど、戸建てよりも高層集合住宅が適しているとも言えます。
 また、単純に同じ部屋数の戸建てよりも集合住宅の方が購入費や管理費、修繕費などが安いケースもあります。

 市政に関しましては、あまり意識していない方も多いかもしれませんが、このままでは旭川の未来、日本の未来に多く影響します。なぜならば現在旭川市の予算は歳出に対して、旭川での歳入の割合がおよそ50%です。家計でいうと必要の半分しか稼いでいない赤字の状況です。その不足分を北海道や国の予算から交付されたり借りたりしています。故に道や国の予算が足りない現状もあります。ですのでなんとかしないといけないことなのですが、急に歳入を増やすことはとても困難ですのでまずは歳出を減らす必要があります。

 ただ、今までだと歳出を減らす必要がある際に、減らしやすい福祉以外から減らすと、成長産業への援助や娯楽などの生きがいになる部分の予算を減らされる傾向が多く、それでは結局歳入が増えることはないどころか、人口流出の原因となり得ます。そこでそれら必要な予算を減らすことなく歳出を減らす必要があります。

 今回の中央に集約させることでどのような歳出削減が期待できるかというと、まずはインフラ整備に関わる予算を減らすことができます。
 道路や電線、上下水道の整備、補修などの予算のほか、人が住むエリアが減れば当然そこにかかる消防費や人件費、除雪費なども減らすことができます。

 次のメリットとして言えることは、この計画の大本の目的の一つなのですが、人とのコミュニケーションや偶然、必然ともに手に入る情報が多くなる。ということです。
 旭川は車社会で移動の多くに車を利用するのですが、不便な側面があります。一番は駐車場が必要になることです。自宅や郊外型大手スーパー以外の駐車場に止める場合の多くは料金がかかるという問題もありますが、それ以上に移動先に駐車場があることが必須になることが大きな問題点と言えます。

 買い物や仕事の際にも、車を止めることができなければ、そこに行くことは困難ですし、友人宅へ気軽に遊びに行くこともできません。さらには車で移動するとお酒を飲めないのも旭川では行動範囲を狭めている原因になっています。買い物に行きたかったり遊びに行きたかったりした際に「駐車出来ないから…」という理由で行動を諦めるケースも多々あります。そして当然買い物なども「広い駐車場があるところ」が必須条件となり、いつも同じ場所に行きがちになります。

 もし、徒歩での行動範囲にあらゆるものがあれば、躊躇せずに行動することができます。
また、徒歩の場合は車の移動と違い、自由に方向を変えたり立ち止まったいるすることもできますので、知り合いにあった時や、ポスターを見かけた時など意図しない出来事が周りにあった際にも柔軟に対応できます。
 当然徒歩で行動する人が多くなると、偶然人と人が出会う可能性も多くなり、そこから生まれることも多くなります。
 飲食をする場合も、お酒を飲むことができますので、コミュニケーションが弾みますし、二次会、三次会へと繋ぐことでより、人間関係を深めたり、純粋に多く楽しむことができます。
 当然そうなると、飲食街の景気も良くなります。飲食街の景気が良くなり新たなサービスが増えると、旭川市民の楽しみも増えます。
 単純に飲食だけではなく、ライブハウスや演劇などスポーツクラブ、英会話、料理などの各種教室など娯楽施設や出社後の時間や人生を有意義に過ごすための施設やサービスも増えます。
 また車での運転中はよそ見が禁止ですので、運転中新たな情報を仕入れることは困難です。札幌のような都市では、イベントや商品の周知などの手段としてまず、ポスターなどを駅や電車内の中吊り広告として作成しますが、それらを掲示する場所も旭川にはほとんど有りませんので、いざ予算をかけてイベントなどを宣伝しようとしても、その手段自体が少ないです。
 徒歩で移動したり、多くの人が集まる場所がたくさんあれば、ポスターを貼る、フライヤーを置いてもらうなどの告知の手段は増え、その企画自体の集客を増やすことができます。

 ほかにも意外に感じられるかもしれませんが治安が良くなると考えられています。
 一戸建の場合は庭を塀や垣根で囲むため、一見防犯に適していると思われますが、通常それらの塀や垣根は簡単に乗り越えることが可能であり、一度乗り越えてしまえば、逆に外から見られなくなるので、窓をこじ開ける等の作業がしやすくなります。
 また、昨今ではプライバシー保護の観点から、他人の家で何かが起きていても見ない、あるいは関せず。という現状もあります。また、少し上記で触れましたが過疎化などで後継者のいない空き家が多くなり、空き家が何らかの犯罪に利用されたり、老朽化によりそこで遊んでいた子供が怪我をする。害虫などがたまり近所迷惑となる。などの問題もあります。
 一方ヨーロッパ式の集合の場合は建物が道路に沿って平行に整然と繫り有って建っており、プライバシー保護の観点は希薄に感じますが、玄関や入口が丸見えですので、不審者が入りにくく、不審者の逃げ場、隠れ場も少ないです。また、多くの場合中庭も四方が囲まれていて、外部の人間が入りにくい状況になっています。

 また、集合住宅の入口は一つか二つなので、そこをオートロックや監視カメラの設置、警備サービスなどを導入することで、より安全な環境にすることができます。
また、中庭やロビーなど共有部分を作ることによって同じ集合住宅に住んでいる人と会う機会が増え、コミニュティーが形成しやすくなり、安全面以外にも子どの育成など、色々協力し合えることが増えます。

 それら以外にも集合住宅の構造は鉄筋コンクリートなど木造よりも強固なために、地震、火事などの災害に強く、防音や断熱効果も高いです。
 ヨーロッパの都市部ではほとんどの木造住宅が無いために、火事がとても稀です。ですが万が一のことを考えると、消防署や消防士は必要です。ですが実際に消防士が消火活動をすることはないので、訓練以外の時間に、お年寄りの荷物を運ぶ、道案内をするなどボランティアスタッフの様に地域の住民のために活動するケースもあります。

 ただ、上記はあくまでもヨーロッパのケースで、意図したものでもなく、古いシステムであったりもしますので、現代的でかつ雪の多い旭川向きの新しい中央集約型の街の作りや建物を研究し、対応していく必要があると考えます。
 ヨーロッパの50年以上前に建てられた集合住宅が今も使われる理由としては、構造体は丈夫なのでそのままとし、内装や設備などは頻繁に入れ替えます。
 ドイツだと、引越しをする際にキッチンなども引越します。新しく引っ越す部屋はまず自分で部屋のペンキを塗ったり、必要な設備を取り替え、新しいキッチンを設置したりしています。
 旭川で長期間中央集中型の街を掲載するためには、ヨーロッパと同様に構造体だけを残し、居室部分は簡単にリノベーションできる様なシステムが必要と考えます。

 また、中央に集中することによって空いた住宅地は、オーストラリアや北米のような大規模農業、大規模水田の実現や、さらに空いた土地などで家畜の飼料や、バイオ燃料の原料を作るなど、自立した都市づくりの為に利用することができます。

 なお、旭川の不動産業者に聞くと東京などの大都市から単身主任する方が、鉄筋コンクリートのワンルームや1LDKなどに住むことを希望することが多いそうですが、旭川にほとんど無い様で困っているそうです。

 本来の理想とする都市構造は中央に職場や飲食街の非住居が集中し(工場等中央に適さない施設は除く)、それらを囲うように集合住宅が密集し、それらを公共交通機関が蜘蛛の巣のように張り巡らせるのが理想と言われていますが、理想通りではなくても職場エリア、住宅エリアなどがそれぞれ集中していれば、効率の良い公共交通網を設置できるので、全てを徒歩圏内に集約しなくても車社会の問題点を解決できます。

 現在、直ぐに対応可能な改造としては、旭川駅周辺に職場や飲食、販売などのサービス業を集中させ、現在ある4条、新旭川、永山、などのJR駅周辺に集合住宅を集中させ、JRを利用して通勤、通学することです。
 実際に筆者は神楽岡駅周辺に住んでいましたが、バスだと冬場で最大30分ほど待つことがあり、ギュウギュウ詰めの中旭川駅周辺まで30分ほどかかります。それに対してJRだと、ほぼ定時に駅に到着し、旭川駅までの乗車時間は3分でした。料金もバスより割安です。ただし利用者が少ないので現在は廃線も検討されています。正直あまり利用されていないのが不思議です。慣れていないからでしょうか?
 現在、旭川市内の各路線は一時間に1本程度しか走っていないので、不便に感じるかもしれません。もっと多くの人が利用することがあれば、本数が増えるかもしれません。(現在は旭川市内のみを走る路線が無いので、新たに新設することをJRと協議する必要があります。)

 また、少し余談ですが、旭川の人は車での移動が主になるために、通勤通学時に駅まで歩く都市部の人よりも運動不足になりがちだそうです。
 ご自身の健康のためにも、生活や旭川の構造を見直す必要があるかもしれません。

追記 > 旭川をヨーロッパの都市並みの構成にした場合